労評は労働者の団結のために活動します!
労評交運労トール労組では、2月12日、春闘第1回団体交渉を行いました。
今回は、労評の要求についてブログにまとめました。
春闘要求書の内容は、以下の通りです。
2019年春闘要求書
一、2019年度のベースアップ関係について
①係長以下一人当たり平均15000円の賃上げをすること。
②配分について
ア、勤続年数配分
2000円×勤続年数を基準とし、差額分を増額すること。
イ、集配職員の特別加給
集配職員の特別加給については、大型車(10トン車以上)を運転する集配職員を除き一律3000円を増額すること。
ロ、残りの昇給原資については、基本給の増額に用いること。
③定年後の嘱託労働者の時間給を200円以上引き上げること。
二、能率手当の改定について
能率手当=(賃金対象額-時間外手当A)+1000円×各人の残業時間
に改定すること。
尚、改定の対象者は、集配職員(10トン車以上を運転する集配職員を除く)、整備職員とする。
三、夏季一時金について
①係長以下1人当たり50万円を要求する。
②配分方法は、従来通りとする。
四、その他について
①確定供出年金について、現行では会社掛金の支払いが満60才で終了する。これを満65才の定年まで延長すること。
②ホーム作業の安全確保を行なうこと。
継配の荷物を広島支店に相当量を置くことによりホーム上の通路、及びホーム作業場が狭くなり、その中でフォークリフトの作業が行われている。
フォークリフトの3m以内には近付いてはいけないと会社は指導しているが、その指導に従えばホーム作業を遂行できない状態にある。これは、極めて危険であり、昨年は、フォークリフトによる人身事故も起きている。
安全衛生法に則り、安全衛生委員会を機能化させ、ホーム作業の安全環境を確保すること。
以上
今回の団交は、要求内容の説明と要求の背景説明でした。
昨年の春闘では、係長以下平均5255円の賃上げ原資を会社は確保し、集配職労働者は平均8千円強の賃上げでした。
要求書の配分方法は、勤続給への配分と集配労働者への配分に賃上げ原資の多くを取るよう要求したものです。
勤続配分は、勤続一年未満の労働者と10年勤続の労働者との勤続給の差額を2万円にするようにという要求です。
また集配労働者の賃金底上げのため集配職の特別加給を一律3000円引き上げるようにという要求です。
団体交渉では、集配職特別加給は最低3000円であり、3000円以上と要求しました。
以上の要求の背景は、勤続年数に応じて賃金が上がらなければトールに長く勤めて頑張ろうという気持ちになりません。
確定供出年金の掛け期間を65歳に延長する要求も同様の趣旨から要求しました。
そして最大の問題となっている集配職労働者の待遇を改善するためには、賃上げ総原資を集配労働者に一人当たり多く配分するようにしなければなりません。
3月20日に残業代未払いの裁判の判決があります。
どちらが勝っても負けても最高裁まで争われる可能性が高い。
それまでの暫定的改定案として「能率手当=(賃金対象額-時間外手当A)+1000円×各人の残業時間」とするように要求しました。
詳しくはまた報告したいと思います。
労基法37条の趣旨
労基法37条は、残業に対し割増賃金を支払うよう使用者に強制する法律である。この労基法37条の趣旨は「①時間外労働について割増賃金を課すことによって、その経済的負担により時間外労働を抑制すること、及び②通常の労働時間に付加された特別な労働である時間外労働に対して一定の補償をさせること」にある。
ところが「能率手当=賃金対象額-時間外手当A」であるから、残業をしても残業代支払いの負担は、被告会社に生じない。
能率手当+時間外手当A=(賃金対象額-時間外手当A)+時間外手当=賃金対象額
となる。
このように幾ら残業させても被告会社は、残業割増賃金を支払わずに、つまり会社は全く経済的負担を負うことなく集配職員や路線職員、整備職員に残業をさせることができる。
証人尋問における裁判官の質問
裁判官も上記の労働基準法の趣旨から、被告会社証人対し、「使用者, 会社の側に対して,そういう一種の割増しの義務を課すことによって, 会社が長時間の業務命令をしないようにするという目的もありますよね。」と確認し、その上で「労働者のほうで, むやみに長時間になってしまうというような特別の事情」があるのかと問い質した。
これに対し、被告会社証人は「ドライバーというのは, 支店の外に出て仕事をしている時間帯が長いので, その時間帯に, サボっていると言うと語弊があると思うんですけれども, 我々が直接見て, 指導できないので, 意識としてきちんと持ってもらいたいというふうには, 常々思っています。」と的外れな証言しかできなかった。
この証言に対し、裁判官から「先ほども, 例としておっしやったみたいな, すたすたと小走りぐらいで行けばいいのに, だらだら歩いてしまうような, そういう懸念もあるということなんですか。」と質問し、被告証人は「そうですね。」と証言する。
皆さん、被告会社の証言、どう思いますか。能率手当という賃金規則をつくる特別な事情があるのかという裁判官の質問に対して、被告会社の証言はムチャクチャです。最終的には裁判官が審判をするが、次のことは言える。
①会社は、労基法37条の趣旨に反して、残業代という経済的負担を負っていない。しかも、残業代を支払わずに、賃金対象額の増加分しか労働者に支払っていないのだから、会社は丸儲けである。なぜなら会社は、賃金対象額以上の金額で運送を請け負っていから、残業をさせればさせるほど利益を上げることができる。つまり裁判官が残業割増しの義務を会社に課すことで「会社が長時間の業務命令をしないようにするという目的もありますよね。」と被告会社証人に確認したが、これに反する。
②大阪労働局は「平成25年、大阪府内では、トラック運送業の労働災害は1,169件発生しました。その内訳を みると、荷の積み卸し(荷役作業)中の災害が67%を占め、交通事故8%を大きく上回っています。 また、荷役作業中の労働災害としては、墜落・転落が268件で最も多く、その発生場所内訳 をみていくと、その4分の3以上が配送先(荷主等)で起こっています。」と荷役作業中、しかも荷主先での労災多発に対し重大視し、行政指導している。このことからも荷主先で小走りして荷役作業をしろという、裁判所での被告会社証言は全く受け入れらないだろう。