日本労働評議会 大阪府本部

【だんらんの家】泉州ケアサービス闘争報告

大阪府にある「だんらんの家」泉州ケアサービスで介護スタッフとして働くAさんが不当に解雇されました。またAさんには、夜勤勤務の深夜割増賃金、及び残業代が一切支払われていません。

Aさんは、労評に加盟し、会社と団体交渉を行っています。また労基法37条に基づき割増賃金の支払いを会社に請求しています。

労評は以下の要求のもと泉州ケアサービスと団体交渉をしています。

一、A氏の解雇理由につき説明されたし。

二、貴社は労働契約法第五条の安全配慮義務に違反し、A氏を罹患(適応障害)させたことに対し、慰謝料を支払うとともに謝罪すること。

上記の要求は、泉州ケアサービス(株)は、安全配慮義務に違反し、Aさんをうつ病(適応障害)に追い込み、そしてAさんを不当に解雇したことに対しての要求です。

 

会社のずさんな受け入れ体制

 介護労働者の労働は精神的にも身体的にも重労働ですが、利用者さんとその家族の為に懸命に働いています。

泉州ケアサービスのような会社は、サービスの時間の間、利用者さんの健康や命を預かることでもあります。それゆえ利用者さんの受け入れ体制を十分に整えていなければなりません。介護現場で働く私たち労働者へ負担を強いる受け入れでは、利用者さんに対する責任を果たすことはできません。

Aさんは多い時で5人から6人の利用者さんを夜勤一人で介護をしていました。一人で移乗介護をすることが到底でき得ない利用者さんを受け入れるとの話しが会社からありました。夜勤一人でどうやって移乗介助をするのかと会社に問い質しました。それに対し、会社の返答は「一人でもできるかも」などいうあいまいなものでした。Aさんは「何という会社か、受け入れ体制などどうでもよく、利用者さんの頭数を確保して会社の利益追求のために、私たちは働かされるのか」との思いでいっぱいでした。

セクハラ被害に対する会社の理不尽な指示

 最終的には日勤でベッドに寝かせ、移乗介助無しの状態にすることで、夜勤のお泊り介助ができるようになりましたが、Aさんは夜勤においてワイセツな言葉を繰り返されたり、おむつ替えのとき体を触られるなどのセクハラ被害を受けました。セクハラの事情を会社に報告し、対応を求めると、会社からは利用者さんの言動を「全て記録するよう家族から言われている。全て記録すること」という指示がありました。Aさんは、利用者さんの顔にアザがあることや、「家族に殴られた」と聞いていると会社に報告し、何のために記録を取るのですか、その目的は何ですかと会社に問いただしても、会社から返答はありませんでした。Aさんは、セクハラ被害を受けても、利用者さんへの職務を放棄することなく、献身的に介護業務を続けていました。

 夜勤一人勤務で他のやらなければならない業務があるのに「全てを記録する」など到底できません。そればかりか「家族から言われたから全てを記録するように」という業務指示は、その記録を家族に見せることを前提としたものです。家族に業務記録を見せれば利用者さんが家族から虐待、暴行を受ける可能性があります。介護事業を行う会社が、虐待のために利用される可能性のある業務指示を出す。現場で働いている介護者はみんな利用者さんの立場を考えて働いています。この会社の「サービス」は、利用者さんが家族から虐待を受けてもよいから利用者さんの頭数を確保して利益を上げるためのものなのか。以上の思いからAさんは、記録を取る目的は何のためですかと会社に問いただしましたが、会社からは何の返答もありませんでした。

体調不良、適応障害のうつ病

 以上の会社の利用者さんのことを考えない無理な業務指示を受けたAさんは、出勤しようとすると吐き気や目まいがして体が動かなくなり、有給休暇を取得して会社を休みました。そして精神科を受診すると適応障害(うつ病)と診断されました。

 労働契約法第五条には「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」とあります。Aさんの利用者さんからのセクハラの訴えに対し、会社がセクハラへの対応をしないばかりか、理不尽な業務指示をしたことが、罹病=適応障害(うつ病)の原因です。入社時の誓約書に「貴法人や上司の指示命令(人事異動や時間外及び休日労働の命令も含む)及び指揮監督に従い忠実に業務を遂行すること」とありますが、これは労働契約法を会社が遵守することが前提です。

不当解雇

 その後、Aさんはセクハラを行う利用者さんがお泊りする土日連続勤務はきついということで土日連続勤務を避けた週5日のシフト希望を提出していましたが、シフト表にはAさんの勤務日の記載がありませんでした。そして要求もしていない「会社都合」の離職票を送ってきたのです。

 解雇とは会社側が一方的に労働契約を解除することを指しますが、これは雇用契約(労働契約)の一方的解除です。

 

介護労働者の社会的地位・労働条件の向上のために

Aさんは、このまま黙って泣き寝入りしては、泉州ケアサービスの利用者のためにも、そこで働く介護労働者のためによくないとの思いで、労評に加盟し闘っています。労働者を大事にしない介護事業主は、利用者も大事にすることはできません。介護事業は、介護保険等が投入されて成り立っていますが、それは公益性の高い事業であるからです。受け入れ体制も整えないまま利用者さんの頭数を増やし売上高を高め、それに必要な経費である人件費については深夜業務の割増賃金も支払わない。利用者さんの立場から道理ある主張をすれば会社を辞めさせる。このような会社が介護事業の業界においてまかり通るようにしてはならないとの思いでAさんは闘っています。これは介護事業で働く労働者全体、また利用者さんが人間としての尊厳を尊重される介護のための闘いでもあります。

全国の「だんらんの家」で働く労働者の皆さん、職場で問題があれば、まずは労評へ相談してください。

【労働相談、加盟の問い合わせはこちらから】 日本労働評議会 大阪府地区本部 TEL 06-7174-4523 FAX 06-7172-3442 ※事務所不在のため留守番電話になった場合は、こちらから折り返しご連絡させていただきます。 MAIL  rohyo-osaka@kansai.zaq.jp

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